【田中秀和】「カレンダーガール」のコード進行【徹底解説】

この記事は、作曲・編曲:田中秀和の「カレンダーガール」のコード進行の解説をします。
また、簡単のため「Key=C」に移調して解説しています。
機能としてトニックはC、サブドミナントはF、ドミナントはGの色分けしています。セカンダリドミナントはE7とします。
しかし、同じコードでもクラシック目線、ジャズ目線で異なる機能を持つことが多いので、参考程度に見てください。

  本記事の内容

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「カレンダーガール」の動画とコード進行 【田中秀和】

コード進行の全体像を見る

【イントロ】
FM7 Bb7 |Am7 F#m7-5 |
Dm7 E7 G#dim7 |Am G# Caug Caug/F# |
FM7 Bb7 |Am7 F#m7-5 |
Dm7 E7 G#dim7 |AM7 |

【Aメロ】
Dm9 |G7 |Dm9 |GM7 |
Dm9 |G7 |E7 |A7 |
Dm9 |G7 |Dm9 |GM7 |
Dm9 |G7 |E7 |A7 |

【Bメロ】
FM7 |Fm7/Bb |Em7 |Gm/A A7 |
Dm7 C/E |Fm F#dim |
G G#M7 |A#6 G/B |

【サビ】
C |Bm7-5 E7 |Am7 |Gm7 C7 |
FM7 C/E |Ebdim7 Gsus4 F#m7-5 |
FM7 C/E |Dm7 Dm7/G |
C |Bm7-5 E7 |Am7 |Gm7 C7 |
F#m7-5 FM7 |Em7 A7b9 |
Dm7 D7/F# |G G/A G/B G7 |

【ソロ】(2:24-)
Am7 |Bb7 Am7 |F7 |E7(#9) Am7 |
Am7 Bb7 |
Em7/A F#m7/B Gm7/C |
Gm7/C C/D C#/D# |
C#/D# D#/F E/F# |
E/F# F#/G# G/A Daug/G# |

(長2度上に転調)
【ラストBメロ】
GM7 ~~~

【イントロ】「カレンダーガール」のコード進行解説【田中秀和】

【イントロ】「カレンダーガール」のコード進行解説【田中秀和】

FM7 Bb7 |Am7 F#m7-5 |
Dm7 E7 G#dim7 |Am G# Caug Caug/F# |
FM7 Bb7 |Am7 F#m7-5 |
Dm7 E7 G#dim7 |AM7 |

コード進行自体はスケールトーンからガッツリ外れていますが、メロディは全てCメジャーの音を使っています。

【一行目】4-3-6進行をリハモした進行【イントロ】

FM7 Bb7 |Am7 F#m7-5 |

一見難しそうに見えますが、元々のコード進行は、
FM7E7Am7
で、この4-3-6進行をリハモしています。

ちなみにこのE7はkey=Aのドミナントです。
つまりG7Cm(key=C)を移調すると、E7Amになります。

 リハモとは?
リハーモナイズのことで、コード進行を代理や部分転調を用いて違うコード進行に変えることです。

それではリハモしていきましょう。
①元の4-3-6進行
FM7E7Am7

②E7を裏コードのBb7へ代理
FM7Bb7Am7

7thコードには裏コードが一つ必ずあり、それに代理することができます。
E7の場合だとBb7へと代理できます。

③Am7と同じ機能のコードを挿入
FM7Bb7Am7F#m7-5

F#m7-5トニックサブドミナントの両方の機能を持ちます。
Am7トニックなので、F#m7-5トニックで機能を引き継いでいます。

違う見方をすると、
Am7D7
と強進行するコード進行のD7を似ている和音に変えたもの。
つまり、
Am7F#m7-5
と代理された進行と見ることもできます。

【二行目】実はこれも4-3-6進行【イントロ】

Dm7 E7 G#dim7 |Am G# Caug Caug/F# |

一行目で解説した4-3-6進行ですが、これも4-3-6進行です。
それではどのようにリハモされているか見ていきましょう。

①元のコード進行
FM7E7Am7

②FM7をDm7に代理
Dm7E7Am7

FM7サブドミナントなので、同じ機能のDm7に代理できます。
ここをDm7に代理する理由として、恐らく頭が全てFM7になってしまうのを避けるために代理してると思われます。

③E7とAm7の間にパッシング的なdimを挿入
Dm7E7G#dim7Am7

G#dim7E7の代理コードです。
分割したE7G#dim7に変わったと考えてください。

パッシングディミニッシュについてはこちらで詳しく解説しています。
パッシングディミニッシュの説明と使い方【徹底解説】

この使われ方の場合は上昇パッシングディミニッシュと一緒ですね。

④Amの後ろはベースの動きでFM7へと繋ぐ
AmG#CaugCaug/F#

とありますが、正直コード楽器が聞こえませんでした。
ベースの音だけ耳コピして、田中秀和がコードを付けるならこんな感じかなぁと。

⑤元のコードは下降クリシェ
AmG#augC/GF#m7-5

C/Gの部分の転回形を戻してCへ変えたイメージで良いと思います。
コード音が聞こえないので、これ以上深追いはしません。

【四行目】最後のAM7は偽終止【イントロ】

Dm7 E7 G#dim7 |AM7 |

二行目とほぼ一緒ですが、最後だけ違います。
最後はAM7で終わりますね。
これは偽終止の一種だと思っています。

Cで終わる曲も最後はCM7でエモ味成分を出したりしますよね?
それと一緒でAで終わるのではなく、AM7でお洒落さエモさ個性的な曲にしているわけです。

AM7は見慣れないコードですが、偽終止のAM7thの音が付いたと考えてください。

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【Aメロ】「カレンダーガール」のコード進行解説【田中秀和】

【Aメロ】「カレンダーガール」のコード進行解説【田中秀和】

Dm9 |G7 |Dm9 |GM7 |
Dm9 |G7 |E7 |A7 |

Aメロでは「DmG」や「EA」の2-5進行だけで作られています。
基本的に2-5進行だけで組み立ててしまうとリスナーは飽きてしまうのですが、飽きが来ないようなテクニックを使っています。
ここではそのテクニックを暴いていきましょう。

【一行目】2-5進行だけどモーダルインターチェンジで違いを出す【Aメロ】

Dm9 |G7 |Dm9 |GM7 |

テンションがややこしいので一度全て簡単にしてみます。
DmGDmG

2-5進行の連続ですね。
また「ドミナント」→「サブドミナント」はクラシックでは禁則に当たりますが、ジャズやポップスでは2-5進行が続く場合のみ許容されます。

どこで飽きさせないテクニックを使っているのか。
それは、メロディ。つまり音階です。

①Dm9はCメジャーの音階を使っている。
「前髪は」というメロディで「ミ、ド、ラ」の音を使っています。
なので、ここはCメジャースケールの音階を使っています。

②G7はCハーモニックマイナーを使っている。
「決まらないし」というメロディで「レ、ミ♭」の音を使っています。
コードの構成音と合わせて考えると、
ド、レ、ミ♭、ファ、ソ、〇、シ
が使われているわけです。
つまり、Cハーモニックマイナー(もしくはCメロディックマイナー)の音階を使っています。

③GM7はCリディアンを使っている。
「ダルダルブルー」というメロディで「ソ、ファ#、レ、レ♯、ミ」の音を使っています。
「レ#」はアプローチ的な音と見て外して考えると、
ド、レ、ミ、ファ#、ソ、ラ、シ
が使われているわけです。
つまり、Cリディアンスケールの音階を使っています。

上で説明したものは「モーダルインターチェンジ」と言われる音楽理論です。
詳しくはこちらで解説しています。
モーダルとコーダルの説明と応用【徹底解説】

上で説明したことをまとめると、
Dm9G7Dm9GM7
の音階は、
Cメジャー」→「Cハーモニックマイナー」→「Cメジャー」→「Cリディアン
と一小節ずつ目まぐるしく変化しています。

このように同じようなコード進行でも、使われる音階を変えることで違うイメージを出せ、リスナーに飽きさせない曲になります。

【二行目】セカンダリドミナントを繰り返し使う【Aメロ】

Dm9 |G7 |E7 |A7 |

前半部分は一行目と同じなので後半部分を解説します。

①key=Dのドミナントモーションをする。
A7Dm7

key=CのドミナントモーションはG7Cです。ドミナントが解決する進行をドミナントモーションと呼びます。

②key=Aのドミナントモーションをする。
E7A7Dm7

同じようにE7A7に向かってドミナントモーションしています。
このような連続でドミナントモーションするE7のことをダブルドミナントと呼びます。

【Bメロ】「カレンダーガール」のコード進行解説【田中秀和】

【Bメロ】「カレンダーガール」のコード進行解説【田中秀和】

FM7 |Fm7/Bb |Em7 |Gm/A A7 |
Dm7 C/E |Fm F#dim |
G G#M7 |A#6 G/B |

Bメロもリハモしまくっているので難しく見えますが、元は簡単な進行を使っています。
それでは、解説していきます。

【一行目】4-4m-4-6進行をリハモした進行【Bメロ】

FM7 |Fm7/Bb |Em7 |Gm/A A7 |

分数コードがたくさん出てきてややこしいので最初からリハモしてみます。
①元は4-4m-3-6進行
FM7Fm7Em7A7

ポップスでよく見る進行です。これを徐々にリハモしていきましょう。

②Fm7の分数コードを作る。
FM7Fm7/BbEm7A7

このFm7/BbDm7/Gと同じような意味で使われます。
Fm7と比べてベースがテンションの音になるので浮遊感や近未来感がすごく出ます。

③A7はポリコードを使う。
FM7Fm7/BbEm7Gm/AA7

このGm/Aポリコードと呼ばれるテクニックを使用しています。
本来ポリコードというのは、コードを二つ同時に弾くテクニックです。
例えば、ピアノの左手でAの「ラ、ド#、ミ」を弾き、右手でGmの「ソ、シ♭、レ」を弾きます。
この左手で弾いたコードをローワー・ストラクチャ。右手のコードをアッパー・ストラクチャと呼びます。

しかし、それではポップスでは受け入れられないような音になってしまうので、ローワー・ストラクチャは省略してベースのみ弾きます。
するとGm/Aが作られます。

アッパー・ストラクチャを作るコツとして、テンションが「7th、9th、11th(♭や♯は自由につけてOK)」と鳴るようにコードを鳴らすと簡単にできます。

ポリコードは複雑な和音なので、進行先はだいたいストレートで分かりやすい和音です。

【二行目】半音とか挟みつつサビまでの駆け上がり【Bメロ】

Dm7 C/E |Fm F#dim |
G G#M7 |A#6 G/B |

Dm7C/EFmF#dimG
「F#」の半音を挟みつつもスケールトーンを上るコード進行です。
Fmで一時的にCマイナーに部分転調しています。

次の
GG#M7A#6G/B
ですが、テンションがややこしいので簡単にすると、
GG#A#G/B
となります。

先ほどの進行とは変わって、この進行は、
GG#A#
Cマイナーのスケールトーンを上る進行です。
最後のG/Bは、サビでCメジャーに戻るための準備運動みたいな感じで挿入されます。

そしてテンションを考えますが、よく見ると全て「」の音がテンションになっています。ボーカルが「」のロングトーンで伸ばしているので、音がぶつからないようにテンションを加えたと考えられますね。

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【サビ】「カレンダーガール」のコード進行解説【田中秀和】

【サビ】「カレンダーガール」のコード進行解説【田中秀和】

C |Bm7-5 E7 |Am7 |Gm7 C7 |
FM7 C/E |Ebdim7 Gsus4 F#m7-5 |
FM7 C/E |Dm7 Dm7/G |
C |Bm7-5 E7 |Am7 |Gm7 C7 |
F#m7-5 FM7 |Em7 A7b9 |
Dm7 D7/F# |G G/A G/B G7 |

ややこしいし長いですが、サビはカノン進行の動きと一緒です。
それでは解説していきます。

【頭四小節】カノン進行をリハモした進行【サビ】

C |Bm7-5 E7 |Am7 |Gm7 C7 |

カノン進行をリハモして、いちから作ってみます。

①元の進行
CG/BAm7C/GFM7

リハモしますが、色んなkeyの2-5-1進行を多用している形になっているので、着地点(2-5-1進行の”1″の部分)を決めます。

②着地点を決める。
C→〇→Am7→〇→FM7

着地点を「Am7」と「FM7」に決めました。
それでは着地点に向かって2-5-1進行をします。

③2-5-1進行を挿入する。
CBm7-5E7Am7Gm7C7FM7

このようにリハモされるわけです。
Bm7-5E7Am7
key=Aのマイナーの2-5-1進行です。

Gm7C7FM7
key=Fの2-5-1進行です。

【三行目】スケールトーンの下降をリハモ【サビ】

FM7 C/E |Ebdim7 Gsus4 F#m7-5 |

元の進行はスケールトーンを下がっていく進行です。
①元の進行
FM7C/ED7Gsus4

です。D7セカンダリドミナントとして機能します。

②D7を変形(代理)する
FM7C/EEbdim7Gsus4

この変形は下降パッシングディミニッシュと同じです。
♭9thをつけて、ルートを消すとdim7になります。

パッシングディミニッシュの説明と使い方【徹底解説】

③ベースが半音ずつ動くようにコードを挿入する。
Gsus4F#m7-5FM7

このF#m7-5FM7の代理として使われます。
ベースを半音ずつ動かすために挿入されたと考えると納得できるとおもいます。

【後半部分】4-3-6進行をリハモした進行【サビ】

F#m7-5 FM7 |Em7 A7b9 |

F#m7-5FM7の代理として使われます。
なので実際には、
FM7FM7Em7A7b9
4-3-6進行と同じです。

このF#m7-5クライマックス感を演出できるので、サビ後半に使われることが多く、またベースの半音の動きも作れます。

【ソロ】「カレンダーガール」のコード進行解説【田中秀和】

【前半】
Am7 |Bb7 Am7 |F7 |E7(#9) Am7 |
Am7 Bb7 |

【後半】
Em7/A F#m7/B Gm7/C |
Gm7/C C/D C#/D# |
C#/D# D#/F E/F# |
E/F# F#/G# G/A Daug/G# |

長いので、わかりやすく前半と後半を分けて解説します。

【前半】使ってるコード、実は簡単【ソロ】

Am7 |Bb7 Am7 |F7 |E7(#9) Am7 |
Am7 Bb7 |

基本的にAm7を使っていますが、イントロと同じようにBb7E7裏コードです。

なのでここでは、Am7F7E7の3つのコードしか使われていません。

【後半】短三度上に連続で転調する進行【ソロ】

Em7/A F#m7/B Gm7/C |
Gm7/C C/D C#/D# |
C#/D# D#/F E/F# |
E/F# F#/G# G/A Daug/G# |

分数コードばっかりで頭おかしくなりそうですね。
とりあえずベースだけ見てみましょうか。

①ベースの動きをみる。
小説ごとにベースの動きを見てみます。
すると、規則性があるのに気づきませんか?

「ラ」→「シ」→「ド」
「ド」→「レ」→「レ#」

「ラ→シ」は全音上に動いています。
「シ→ド」は半音上に動いています。

全体的にみると、全ての小説でベースが同じ動きをしていることが分かります。
次はコードについて考えてみましょう。

②m7とメジャーの2種類のコードを考える。
前半部分はm7なのに途中からメジャーコードになってますよね。
とりあえず、どちらも分けてコード進行を見てみます。

・メジャーコードの進行
C#/D# D#/F E/F# |

これも規則性を見つけると全て、ベースの全音下のコードになっていますね。
C/DG/A」が分かりやすい例です。

・m7コードの進行
Em7/A F#m7/B Gm7/C |

これも規則性を何とか見つけてみます。
構成音に注目すると「メジャーコードの個所の進行」に似ていませんか?
例えば、分子コードのルートを全て省略すると、
G/AA/BBb/C
となります。
こちらも、ベースの全音下のコードになっていました。

つまり同じ和音を平行移動させたコード進行というわけです。

③ポップスはF/Gを平行移動させる転調が多い
例えば、『オオカミとピアノ』(3:25~)では
F/Gを平行移動させて、
F/G(key=C)→D/E(key=A)→B/C#(key=F#)
と転調していきます。

この転調と同じように、
F/GG/AG#/Bb
という進行を繰り返しているとわかります。
つまり、
key=D
Em7/A F#m7/B Gm7/C |

key=F
Gm7/C C/D C#/D# |

key=G#
C#/D# D#/F E/F# |

key=B
E/F# F#/G# G/A Daug/G# |

となっています。
key=Cに移調してあげると全て、
F/GG/AG#/Bb
という進行になっていたわけですね。

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