【田中秀和】「灼熱スイッチ」のコード進行【徹底解説】

この記事は、作曲・編曲:田中秀和の「灼熱スイッチ」のコード進行の解説をします。
また、簡単のため「Key=C」に移調して解説しています。
機能としてトニックはC、サブドミナントはF、ドミナントはGの色分けしています。セカンダリドミナントはE7とします。
しかし、同じコードでもクラシック目線、ジャズ目線で異なる機能を持つことが多いので、参考程度に見てください。

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「灼熱スイッチ」の動画とコード進行 【田中秀和】

コード進行の全体像を見る

【A-1メロ】
C |C |F#dim/C |F#dim/C |
Fm/C |Fm/C |C |C |
F |G/F |Em |Cm6/D# |
Dm |F#dim |Gsus4 |G Gaug/C# |

【イントロ】
C |F#m7-5 |F |Bb7 C#7 |
C |F#m7-5 |F |Eaug/Bb |

【A-2メロ】
C |C |F#dim |F#dim |
F |G/F |Em7 |A7b9 |
Dm |G |Em |A |
Dm7 |Dm7/G |Csus4 |C C#dim7 |

【Bメロ】
Dm7 |Dm7/G G7b9 |CM7 |Em7/A Am7 |
Dm7 |Dm7/G G7b9 |CM7 |E7b9 |
Am |G#aug |C/G |F#m7-5 |
F |D |E7 D#7 E7 D#7 |E7 E7 |

【サビ】
Eaug/Bb |Em7/A |C9 |FM7 |
Bm7-5 |E7 |Am G#aug |Gm7 Caug |
F#m7-5 |Fm6 |Em7 G#dim7 |A7 |
Dm7 |Dm7/G |C |C#dim7 |
Dm7 |Dm7/G |

【A-1メロ】「灼熱スイッチ」のコード進行を解説【田中秀和】

【A-1メロ】「灼熱スイッチ」のコード進行を解説【田中秀和】

【A-1メロ】
C |C |F#dim/C |F#dim/C |
Fm/C |Fm/C |C |C |
F |G/F |Em |Cm6/D# |
Dm |F#dim |Gsus4 |G Gaug/C# |

A-1メロでは、「ボーカル」「ギター」が二本の楽器構成になっています。
左PANのギターで低音域を鳴らしていて、右PANのギターで中音域を補っています。

【一行目と二行目】 ずっとCのオンコード【A-1メロ】

C |C |F#dim/C |F#dim/C |
Fm/C |Fm/C |C |C |

一行目と二行目はずっと最低音で「ド」を鳴らしているオンコードになっています。
なので、機能は全てトニックです。
ずっとCのコードを使いたいけど、表情を変えるために内声音を変化させたと考えて良いです。

F#dim/Cは無理やりテンション表記すると、
Cdim7,omit3
となります。(こんな表記あるのか分からないですが)
つまり、トニックディミニッシュ的な使い方をしているのです。

トニック→トニックディミニッシュ→トニックといった使い方では、トニックばかりで飽きるから、曲の表情を変えるために使っていると考えてください。

Fm/Cは同主調からの借用和音と言えます。
また、言い方を変えるとCマイナーからのモーダルインターチェンジです。

参考:モーダルとコーダルの説明と応用【徹底解説】(記事後半にてモーダルインターチェンジの解説しています)

「私たちの」「じ」「か」「ん」「が」
「ドドドド」「シ」「ド」「レ」「シ」
という「シ」のメロディを使っているため、正確にはCハーモニックマイナーからのモーダルインターチェンジです。

最後はまたCに戻ります。
メロディは「勉強よりも」で、
「べ」「ん」
「ソ」「ファ#」
と鳴っています。
これは、次の「きょ(ファ)」の音へのクロマチックアプローチと見ることもできますが、Cリディアンモーダルインターチェンジしていると見ることも出来ます。

 クロマチックアプローチとは?
「音」→「音」が全音の動きで動くときに間に「半音」を挟むこと。
例えば「ソ」→「ファ」の間に「ソ」→「ファ♯」→「ファ」と半音を差し込むテクニック。
また、この差し込む半音はスケール音じゃなくても良くて、なんなら微分音でも構いません。

一行目二行目はずっとトニックですが、モードの変化を見ると、
「Cイオニアン(メジャー)、Cリディアン、Cハーモニックマイナー、Cリディアン」
と順に変化していき、リスナーに飽きが来ないような仕組みが作られています。

【三行目】裏コードを用いた4-5-3-6進行の亜種【A-1メロ】

F |G/F |Em |Cm6/D# |

このコード進行は4-5-3-6進行の亜種です。
上に乗るコードがCm6とあるので、CメジャーからCマイナーに変化したように見えますが、裏コード的な用法として使われています。

G/FG7の転回系で、7thの音がベースに来るよう転回されています。
7thがベースの転回系の次の進行先は、機能和声では半音下が良とされており、
例えばこのG/Fの場合だとEm7C/Eへと進行するのが良です。

Cm6/D#A7の代理として用いられます。
またテンション表記すると、D#6(#11th)omit5となります。
左のギターで「レ♯」「ソ」を鳴らし、右のギターで「ド」「ラ」の音を鳴らしていて、最低音が「レ#」裏コード感はありますが、6th#11thを使っているので裏コード特有の浮きすぎた浮遊感は抑えられています。

 裏コードとは?
ドミナントやセカンダリドミナントの減5度下の7thコードのこと。
例えば、A7の裏コードはD#7G7の裏コードはC#7
「裏」という名前はベースの位置が五度圏の真逆にある事からの由来です。

【四行目】しっかり2-5進行でAメロを締める【A-1メロ】

Dm |F#dim |Gsus4 |G Gaug/C# |

ここは経過和音などを使ってゆっくり2-5進行をしています。
最後のGaug/C#blkコードと呼ばれ、C#blkのようにコード表記することもできます。

F#dimD7代理として用いられます。
また構成音は「ファ#、ラ、ド」で、D7のルートを省略した形と見ることが出来ます。
またdimに7thはついていませんが、上昇するパッシングディミニッシュ的な用法でもあります。

参考:パッシングディミニッシュの説明と使い方【徹底解説】

Gsus4G
この進行はsus4を使ったドミナントまでの経過和音として見ることが出来ます。
sus4の完全四度の音は、三度へと解決したい欲求が働く音です。
こういった何処かへと解決したい傾きがある音を傾性音と呼びます。

最後のGaug/C#裏コード的な用法で用いられる事が多く、機能はドミナントです。
本来のコード進行は、
GC
ですが、半音の動きをするために、よく5音上方変位させた和音が用いられます。
つまり、G「レ」が半音上がって「レ♯」となった形です。
GaugC
となりました。
最後はベースを中心軸システムに従って減五度下へ変化させます。
すると、
Gaug/C#C
となります。
こういった流れでこの和音が作られます。

参考:コード機能の説明と解説【音楽理論】

四行目の全体像を見るとややこしく見えますが、ただ2-5進行をゆっくりしているだけと簡潔に考えましょう。

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【イントロ】「灼熱スイッチ」のコード進行を解説【田中秀和】

【イントロ】「灼熱スイッチ」のコード進行を解説【田中秀和】

【イントロ】
C |F#m7-5 |F |Bb7 C#7 |
C |F#m7-5 |F |Eaug/Bb |

イントロでは、「ギター」×2、「ドラム」「FX」「シンセ」「ベース」「卓球のSE」といった楽器構成になっています。
聴こえずらいですが、うにょうにょしたシンセが高音域で鳴っています。

 FXとは?
エフェクトのことです。シュワー!ってノイズやジュワーン!って音の事です。

【一行目】緊張感が凄い!ドミナントの進行【イントロ】

C |F#m7-5 |F |Bb7 C#7 |

ここは機能だけ見るとトニック→サブドミナント→ドミナントと機能和声のお手本のような進行をしています。

F#m7-5C6FM7代理として使われ、サブドミナントとトニックの両方の機能を持っています。
両方の機能を持つと言われて気持ち悪く感じる方は、トニックの経過和音トニックマイナーとして認識すると良いと思います。
「ファ#」の音が「ファ」へと解決したい傾性音となっているので大体は、FM7Bm7-5に進行します。

B♭7G7Fm7の代理として用いられます。
また機能はサブドミナントマイナーと見ても良いかもしれませんが、中心軸システムに従ってドミナントとしています。
FB♭7G7
サブドミナント→サブドミナントマイナー→ドミナントといった進行になっていてポップスでよく用いられます。

このG7裏コードC#7になったと考えるとそこまで難しい進行に感じないと思います。

つまり、この一行目を代理して簡単なコードに直してみると、
CF#m7-5FFmG7
となります。
機能を見ると、
トニック→トニックマイナー→サブドミナント→サブドミナントマイナー→ドミナント
と変化していっています。
この後はしっかりトニックに解決していますし、まさにお手本のような進行です。

【二行目】blkコードだけど使い方はさっきと違う【イントロ】

C |F#m7-5 |F |Eaug/Bb |

一行目とほぼ同じですが、最後のEaug/B♭だけ変えられています。
これは同じく機能はドミナントですが、A-1メロで出てきたblkコードとはまた違った使われ方をしています。

A-1のblkコード
Gaug/C#C
と半音下にトニックとして解決しています。
しかし、イントロのblk
Eaug/BbC
と全音上に解決していますよね。
こういったblkコードの使い方は、
B♭7C
といったサブドミナント→トニックの進行のサブドミナントにテンションを乗せた形と見ます。

【Bメロ】「灼熱スイッチ」のコード進行を解説【田中秀和】

【Bメロ】「灼熱スイッチ」のコード進行を解説【田中秀和】

Dm7 |Dm7/G G7b9 |CM7 |Em7/A Am7 |
Dm7 |Dm7/G G7b9 |CM7 |E7b9 |
Am |G#aug |C/G |F#m7-5 |
F |D |E7 D#7 E7 D#7 |E7 E7 |

ここのメロディは息を吸うようにクロマチックアプローチを使っています。

【一行目・二行目】コードCなのに本当にド#歌っていいの?【Bメロ】

Dm7 |Dm7/G G7b9 |CM7 |Em7/A Am7 |
Dm7 |Dm7/G G7b9 |CM7 |E7b9 |

この進行は分数コードが多くてややこしいですが、2-5-1-6進行をしているだけです。

Dm7上のメロディは、
「あ」「せ」「の」「つ」「ぶ」「が」
「ミ」「ミ♭」「ミ」「ミ」「ミ♭」「ミ」
となっています。
クロマチックアプローチは全音進行の間に半音を挿し込むテクニックでしたが、ここでは次がコードトーンやテンションノートに解決するときに使えるテクニックと拡張した、クロマチックアプローチの応用版を用いています。
「ミ♭」はルート「レ」と半音でぶつかりますが、m7コードなのと弱拍のメロディで使われているのとで不協和音にはなっていません。

次はDm7/GG7b9と進みます。
どちらもドミナントコードで「ラ」「ラ♭」「ソ」と内声を半音で動かすため、♭9thのコードが用いられています。

CM7のメロディは、
「ま」「け」「ず」「ぎ」「ら」「い」
「レ」「レ♭」「レ」「レ」「レ♭」「レ」
となっています。
ここでもクロマチックアプローチを応用した形が使われているわけですが、主和音のCM7上で「レ♭」というルートと半音でぶつかるようなメロディが使われています。
本当にこの音を使ってよいのでしょうか。
ベースの音も聴き取って考察してみましょう。

「ま」「けー」「ず」「ぎ」「ら」「い」
「レ」「レ♭」「レ」「レ」「レ♭」「レ」
「ド」「休み」「ド」「ド」「シ」「シ♭」
と鳴っています。一番下がベースです。
「休み」はベースの音がありません。なので不協和音には感じませんね。
「ら」の部分のベースは「シ」です。
ここだけのコードネームはG/Bとなります。
つまり、G/Bのコードで#11thを鳴らしているだけなので、不協和音にはなりません。
このようにして明らかに不協和音になりそうな音を使っていても、不協和音に感じづらいように上手く編曲されているわけですね。

二行目のお尻はE7♭9が使われていますが、これはAm7セカンダリドミナントとして使われています。

参考:セカンダリドミナントの説明と使い方【徹底解説】

【三行目・四行目】王道クリシェでサビへの期待感を高める【Bメロ】

Am |G#aug |C/G |F#m7-5 |
F |D |E7 D#7 E7 D#7 |E7 E7 |

ここでは王道の下降クリシェが用いられています。
また、最後のE7D#7はメロディと一緒にクロマチックアプローチしているだけです。

前半部分はベースの音が半音ずつ下がる下降クリシェになっています。
「ド」「ミ」の音を保留したまま、ベースが「ラ」→「ファ#」まで下がります。
最後はそのままクリシェしていくと、コードの構成音が「ファ#」「ド」が減五度となっていて三度の音がなくなるので、三度の「ラ」が足され、F#m7-5となることがよくあります。
また、1つの音以外全て保留されるちゃんとしたクリシェは変位和音なので機能は変わりません

Fからはスイッチが入る予備動作として、力強さを感じるパワーコードが使われています。
FDサブドミナントを経由して、DE7と繋がります。
これはFG7という進行を調を変えてしているだけです。

サビ前のコードでE7を鳴らすのはkey=Aに転調するモーションなのですが、灼熱スイッチではAmと解決しているのでサビもkey=Cです。

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【サビ】「灼熱スイッチ」のコード進行を解説【田中秀和】

【サビ】「灼熱スイッチ」のコード進行を解説【田中秀和】

Eaug/Bb |Em7/A |C9 |FM7 |
Bm7-5 |E7 |Am G#aug |Gm7 Caug |
F#m7-5 |Fm6 |Em7 G#dim7 |A7 |
Dm7 |Dm7/G |C |C#dim7 |
Dm7 |Dm7/G |

頭からEaug/B♭というイカレた和音を使っています。
とても殺気立っていますが、灼熱スイッチというタイトルにあった灼熱さを感じるイメージにあった和音です。

【一行目】サビ頭からblkコード使えるの?【サビ】

Eaug/Bb |Em7/A |C9 |FM7 |

サビ頭から凄いことになっています。
しかし、落ち着いて紐解いていけば、いづれ解けるでしょう。

Eaug/B♭は経過和音として見る。
E7「ソ♯」「レ」減五度の音間を持った不安定なコードです。
またEaug/B♭は「シ♭」「ミ」減五度の音間があります。
なので、ここはドミナントからドミナントに移った経過和音として見ましょう。
していることはA-1メロで解説した通りです。

 
「基準」から数えて半音が五個空いた「音」です。
例えば、ドとファ#、ファとシ、レとソ#など全部で6つしかありません。
この減五度の音間を持っているからドミナントの不安定な響きを生み出す事ができるのです。

 減五度とは?
「基準」から数えて半音が五個空いた「音」です。
例えば、ドとファ#、ファとシ、レとソ#など全部で6つしかありません。
この減五度の音間を持っているからドミナントの不安定な響きを生み出す事ができるのです。

Em7/Aでは一応、減五度は解決しています。
しかし、ベースの音から見て三度の音はありませんので、解決しているように見えて経過和音となっています。
分子分母で分けて中心軸システムを用いると、
Em7ドミナントマイナー、ベースのAトニックなので微妙な機能を持っています。

C9でやっと解決できています。
しかし、こちらはFM7セカンダリドミナントとなっています。
また、前のコードがEm7/Aではなく、Am7だった場合は、
Am7C9トニックマイナートニック
禁則進行になります。
なので、三小節目のここでC9を使いたかったらEm7/Aという経過和音を使うしかないのです。

【二行目】違う調の2-5-1進行とクリシェの組み合わせ【サビ】

Bm7-5 |E7 |Am G#aug |Gm7 Caug |

ここでは、2-5-1進行下降クリシェが組み合わされています。
ポップスでは結構、頻出なコード進行なので覚えておいても良いかもしれません。

Bm7-5E7Am
これは、key=Aのマイナーの2-5-1進行をしています。
セカンダリドミナントの前に2のマイナーが付いた形だと思うと、理解が早まると思います。

AmG#augGm7
ここではBメロでやった下降クリシェの亜種です。
クリシェと思わせといて「ソ」まで来たらGm7と鳴らしています。これは違う調の2-5-1進行を使うモーションとなります。

CaugC7代理として用いられます。
また、三行目頭のF#m7-5FM7代理として用いられます。
代理前に戻すと、
Gm7C7FM7
となります。これはkey=Fの2-5-1進行です。

この短い四小節の中に、調の違う2-5-1進行が二つ下降クリシェが使われていて、かなりコードを追うのが忙しいですね。

【三行目】ややこしいけど頻出コード進行【サビ】

F#m7-5 |Fm6 |Em7 G#dim7 |A7 |

4-4m-3-6進行の亜種です。ここのコード進行もポップスでは頻出なので覚えておいても良いかもしれません。

F#m7-5FM7の代理コードでしたので、頭の部分は、サブドミナント→サブドミナントマイナーという進行になっています。
またFm6上のメロディは
「気」「持」「ち」「な」「ら」
「レ」「レ」「ド」「レ」「ファ」
となっていて「レ」の音が強拍で使われているのでコードトーンに6thが乗っています。

G#dim7パッシングディミニッシュ的な用法で用いられています。
また、進行先がA7セカンダリドミナントなので、ダブルドミナントとして見ることもできます。

【四行目】最後はしっかり2-5-1進行【サビ】

Dm7 |Dm7/G |C |C#dim7 |

これは2-5-1進行パッシングディミニッシュを用いた進行です。

Dm7/G上のメロディは、
「ラ」「シ」「ドー」「ミ」
となっています。
強拍に「ド」が使われているので、この場合はG7ではなく導音の「シ」が使われていないGsus4などを用いると、メロディが綺麗に映えます
ここでは、前のコードがDm7なのでそれを引き継いでDm7/Gと鳴らしています。

C#dim7はお手本のような上昇パッシングディミニッシュです。
メロディもしっかり「ド#」と半音上げて歌っています。

【田中秀和】「灼熱スイッチ」のコード進行の解説まとめ

コード進行に絞って解説しましたが、サビ前のシンセの駆け上がりは正にスイッチそのもののイメージで、楽器の使い方やSEの使い方もとても上手な曲です。
灼熱スイッチはコード進行だけでなく、音の使い方なども勉強になる曲だと思います。

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